今回は、デザイン留学生におすすめのニューヨークのエキシビション情報をお伝えします。

この秋から来年にかけて、MoMA（ニューヨーク近代美術館）とGuggenheim Museum（グッゲンハイム美術館）で戦後の日本の前衛アートを振り返るエキシビションが開催されます。この２つのエキシビションは、ニューヨークでアート・デザイン留学中の学生の皆さんには必見の貴重なものとなるでしょう。



ところで上記の美術館は以前の記事でも紹介しました。
◇「NYに留学したら通いたい美術館情報4 グッゲンハイム美術館」
◇「NYに留学したら通いたい美術館情報1 MoMA」

◆ “Tokyo 1955-1970” at MoMA
2012年11月から来年2月にかけてMoMAでは「東京」をタイトルに掲げ、戦後の激動の時代に東京で活動した前衛芸術の作家を紹介します。
そこに挙げられた名前は、日本の前衛アートを代表するパフォーマンス集団を結成した赤瀬川原平、詩人で美術評論家の瀧口修造、現代音楽の武満徹、グラフィックデザインでは横尾忠則、そして岡本太郎と、日本を代表する作家たちがずらり。展示作品は、絵画、彫刻、写真、グラフィックデザイン、実験映像など多種多様なメディアが網羅され、300点におよぶそうです。

◆ “Gutai: Splendid Playground” at the Guggenheim
グッゲンハイムで来年2月から開催されるのは、こちらも同時代に生まれた「具体派」の展覧会です。前衛美術グループ「具体」は1954年に関西在住の若い美術家を中心に結成されました。欧米でも「GUTAI」として知られ、日本の現代アートを代表するムーブメントとして位置づけられています。


日本で生まれたこのような芸術活動ですが、日本国内では意外に知られていないかもしれません。1950年代、60年代、70年代はこの国が敗戦から奇跡的な復興をとげ、驚くべき速度と勢いで経済成長した時代です。そんな中で数々のユニークな芸術活動や作品が生み出されました。それは自由で型破りで、過激ともいえるものです。その作品は、例えば天井から吊るしたロープにつかまりながら足でペイントする（白髪一雄）、紙を突き破って走り抜ける紙破りパフォーマンス（村上三郎）、カラフルな電球がまたたく電気服（田中敦子）など。
東京でも国立新美術館で「具体」回顧展が開催されたのも記憶に新しいところで、これにより具体派を知った人も多いでしょう。

激動の時代の勢いを反映し、アートの革命を起こした戦後日本の前衛芸術。インスタレーションやパフォーマンスなど現在のアートの原型ともいえます。

ニューヨークの代表的な美術館において、このように相次いで大規模な展示が行われることが示すとおり、欧米では近年、日本の戦後美術史への関心が高まっています。デザイン留学生は見ておくべきでしょう。


◆“Tokyo 1955–1970: A New Avant-Garde” at MoMA
November 18, 2012–February 25, 2013
◆“Gutai: Splendid Playground” at the Guggenheim
February 15–May 8, 2013

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